GHGプロトコルとは?
GHGプロトコルとは?
企業の環境報告とカーボンクレジット取引制度のアップデート
GHGプロトコルとは?
GHGプロトコルとは、主に企業が、温室効果ガス排出量の算定および報告に関する国際的な基準である。GHGは「Greenhouse Gas」の略であり、2011年10月に公表されてから、世界共通の基準となっている。
GHGプロトコルは、「GHGプロトコルイニシアチブ」と呼ばれる独立機関により策定された。このイニシアチブは、米国のシンクタンクである世界資源研究所(WRI)および企業約200社の連合である世界環境経済人協議会(WBCSD)が中心となって1998年に発足された。
GHGプロトコルと似た仕組みとしては、ISO 14064がある。ISO 14064との主な違いは、ISO 14064がGHGプロトコルを基にしているが、GHGプロトコルの適用が企業の任意である点にある。
サプライチェーン排出量を算定するメリット
GHGプロトコルを採用することで、企業は、サプライチェーンを含めた事業全体の排出量の把握、温室効果ガスの削減、社会的責任の達成、経営の改善、ESG投資へのアピールなどが可能となる。
3つのSCOPE
Scope1は、「事業者自らによる温室効果ガスの排出量」と定義され、「直接排出量」とも表現される。その対象は、燃料の燃焼や工業プロセスから発生する温室効果ガスがであり、各企業が所有または管理するボイラーや炉などの設備による排出、製造過程の化学反応による排出などが含まれる。
Scope2は、「電気や熱の使用に伴う排出量」として認識され、「間接排出量」とも表現される。具体的には、社外から供給された電気・熱・蒸気の使用により発生した温室効果ガスが対象となる。
Scope3は、「原材料生産や輸送、製品使用などによる排出量」とされ、「その他間接排出量」とも表現される。具体的には、原材料の生産、輸送や配送、社員の通勤や出張、製品の使用、製品の廃棄により発生する排出量が対象とされる。
排出量の算定方法
GHGプロトコルを用いてサプライチェーン排出量は以下のように算定されることが一般的である。
まず算定目的を初めに定義する。これにより、算定範囲と必要な精度が明確になる。一般的には、サプライチェーン排出量の全体像把握、削減対象の特定、ステークホルダーへの情報開示の1つまたは複数である。
❷算定対象範囲の設定
算定対象とすべき範囲をSCOPE1~3およびその項目別に設定する。①温室効果ガスの種類、➁ 法人・組織の範囲:自社のみか、上流・下流の事業者を含むか、含むとすればどこまでか、③地理的範囲:国内のみか海外も含めるか、④活動種類、⑤時間的範囲:いつからいつまでか
❸各カテゴリへの分類
サプライチェーン内の事業者の活動をScope1~3に分類する。このうちScope3は以下の15のカテゴリーに含める。
➍カテゴリー毎の算定
具体的な算定を以下のように実施する。
- 精度と算定方法を定義する。
- 必要となるデータを収集する。
- 収集したデータを用いて排出量を算定する。基本的には「活動量×排出量原単位」のScope1~3の合算値となる。