太陽光発電の出力制御への対応
太陽光発電の出力制御への対応
脱炭素係数の活用の効果について
太陽光発電の出力制御が問題となっている。この問題は、発電能力が需要を超えた際に、過剰な電力を送電網が受け入れることができないことに起因している。
具体的には、天候が良好な日には太陽光発電の出力が最大になりやすく、それが需要を大幅に上回ることがある。この状況は、送電線のキャパシティの制限や、電力需給のバランスを取る必要性から、発電出力を人為的に制限する必要があるために生じる。
この問題を解決するための方向性は大きく3つある。
送電網の強化と拡充:送電線のキャパシティを増強し、より多くの電力を遠距離に渡って輸送できるようにすることである。これにより、地域間での電力の融通がスムーズに行えるようになる。一方で、その費用対効果を確保することが前提となる。
蓄電技術の導入:電力の過剰が発生した際に、その電力を蓄電池に保存し、需要の高まる時間帯に供給するシステムの開発が進められている。蓄電技術の普及は、電力供給の安定性を向上させる効果が期待される。一方で、その補助金に頼らない採算性の確保が前提となる。
需要家側のデマンドレスポンスの促進:消費者側の電力使用を昼にタイムシフトする手法である。これまでは、深夜の方が電気料金が安くなるなどインセンティブが十分に付与されていなかったが、電気料金を市場連動としたり、昼の時間帯を割安にする取り組みがなされるようになっている。
他の2つのオプションに比べれば投資コストは安く済むので取り組みやすい手法ではある。しかし、電気料金は、その商品の特殊性から、料金を下げても、それほど使用量が増加しない(価格弾性値が低い)ことが知られている。そこで、あらゆる手段を総動員して、電力消費の昼タイムシフトへ向けた企業と消費者の行動変容を促す必要がある。
そこで、時間帯別排出係数を用いて、電力需要家のCO2排出削減量を可視化する手法が期待される。折しも、時間帯別排出係数の使用は、GHG Protocol Scope 2 ガイダンス改訂の論点でもある。
従って、当研究所では、その手法がどこまで実践的であるのか、様々な角度から考察していく。
コントロールし、電力供給のピーク時に消費を抑えることで、供給と需要のバランスをとる取り組みである。