(C.5)広範で柔軟な要件
(C.5)広範で柔軟な要件
スコープ2ガイダンスの改訂に関する調査
C.5. Broad, flexible requirements
C.5. 広範で柔軟な要件
要件の柔軟性を維持することに関する意見の大半は、年間データと広範な市場境界の継続的な使用、および要件の実現可能性を確保する必要性に集中していた。
品質基準の要求事項を遵守するために、活動データ、排出係数、その他の情報を入手する際に、組織が直面する可能性のある様々な課題について、顕著な認識があった。
また、EAC調達、長期購入契約、オンサイトまたはオフサイトでの新資源開発、その他の関連活動など、脱炭素化を支援するエネルギー調達戦略への関与に関して、組織内外の課題が浮き彫りになった。
社内の意思決定プロセスにおける複数の調達オプションの重要性は、脱炭素化経路に関連する様々なリスクと利益を管理するための貴重な手段として強調された。また、重要な変更(例 えば、市場手法の選択肢を完全に削除す るなど)については、既存の契約上の取 り決めや、気候変動目標を達成するた めに組織に残された、あるいは新たなオ プションへの影響、さらにはGHG議定書の会計慣行が合理的に安定することを 期待せずに長期的なコミットメントを引き 受けることに対する組織の意欲への影響 を考慮する必要があるとの回答もあった。
柔軟で広範な要求事項を支持する回答者 は、GHG議定書の役割は、規制や自主的な 目標設定の文脈で、様々な目的に適応し採用で きる会計の枠組みを維持することであるとも 提案した。このような修正を行うために提案された分野には、以下に概説するように、活動データ、排出係数、品質基準への対応が含まれる。
柔軟な市場境界線
柔軟な市場境界線の定義を主張するコメントの中には、これは、あらゆる規模や高度な組織 が行動を起こすための、幅広い市場ベースの調達オプションを支援するものである、とするも のがあった。逆に、市場境界が狭いと逆効果となり、脱炭素化を促進する調達やその他の投資が制限される可能性がある。
また、このトピックに関する回答では、属性(直接排出量)は実際に送電網を通じて供給される物理的な電力とは関連しないため、属性市場は物理的な送電網ネットワークとは異なる(例えば、より大規模な)可能性があるため、市場の境界線は物理的な送電網と関係する必要はないとの概説もあった。
また、相互接続、送電制約、輻輳価格、電力供給可能モデルなどに基づく市場の境界を効果的かつ正確に評価することが困難であるため、市場ベースのスコープ2品質基準の境界を広く保つことが奨励された。これらの意見の中には、GHGプロトコルは、広範に適用可能な要件を維持しつつ、管轄の基準が存在する場合には、その基準に従うべきとの意見もあった。
また、柔軟な市場境界に関する議論では、より大きな排出影響(例えば、排出削減の可能性が最も高い地域で再生可能エネルギーを調達・開発できるようにする)を可能にする行動をとるために、組織が利用可能な選択肢を拡大することができると指摘された。
柔軟なヴィンテージ要件
柔軟なヴィンテージ要件を支持する回答の多 くは、品質基準は変更せず、組織の年間電 力消費量と可能な限り近い時期に生産され たEACを一致させることができるようにすべ きであると述べている。この結果を支持する理由の中心は、主に、製品の入手可能性や取引インフラが様々である広範な市場との関わりを容易にすることであった。
柔軟なヴィンテージ要件に賛成する多くの支持者は、よりきめ細かな(例えば、1時間ごとの)マッチング要件は、クリーンエネルギー調達の取り組みに対する全体的な需要を妨げるという懸念を提起した。
既存のきめ細かい製品の欠如、コスト、広く分散した施設を持つ企業にとっての困難、スコープ3報告要件との相互作用、さらに再生可能エネルギー調達ポートフォリオを構成する上での課題が、よりきめ細かいビンテージ品質基準要件への障害として指摘された。また、回答者の中には、現行のヴィンテージ品質基準要求事項では、組織が希望すれば、より詳細な会計オプションを使用することがすでに可能であり、それゆえ、さらなる変更は必要ないかもしれないと指摘する者もいた。